++2005/03/30(水)  考えたり。
 気がついたらバーレーン戦を食い入るように見てしまい、得点の瞬間に思わず「ああああ、はいったあああ」と声をあげてしまった。と同時に、壁のむこうから「おおおお、はいったあああ」とお隣の旦那さんの声。ああ、こんなところで人知れずお隣さんと一体化してしまったなあ。なんとなく、国民感を味わう。
 
 そんな本日は、男女のおつきあいというものについて考えたり。
 うちのおばあちゃんあたりが特によく口にしそうな昔の風習のなかに、『いいとこの坊ちゃんは、学校を出たばかりの世間知らずで真っ白なお嬢さんをお嫁さんにするもんだ。だから女も、結婚するまではそうでなければならない』みたいなものがある。いまは能力主義が少しづつ芽生えてきて、女も自立していればそれはそれですばらしい、という評価が出るようになってきたし、そういう意味の“シッカリ者”を嫁さんにするのが望ましい、という考え方もある。
 けれど、昔の風習ってのが、なぜ風習でありえたのかということを考えていくと、ああ、これが、案外深いところで的を得てるんじゃないの、なんて。
 昔は「男にとっては手あかのついていない無垢なものを手に入れるのがステイタスなの? これが男尊女卑というやつなの?」なんてぼんやり思って反発していた。けれど私自身、さんざん手あかがついて、人にも手あかをつけて、ひと通り開発も済んで、なんだかこの先どうなんだかなあああっ! てな状況のなか、ステディの横顔を見ていたら、ふと感じたんだね……できるかぎり無垢なものが望ましいってのは、やっぱり男にとっては“当然の、かしこい選択”なんだよね。ってなことを。
 だって、世間に出て、ドロドロとさまざまな経験をして、キレイなものの数千倍は汚いものを見て、いろいろなことを知ってしまった女。これって、確かに頼もしいところがあるかもしれないけれど、実際問題、本人の想像以上に大きくて重たい荷物を背負って生きてるんだよな。そんな女と向き合って一緒になると決めた人間は、その女が背負ってきた人生そのものも一緒に背負わなければならないということだ。自分の人生だけでも精一杯なのに、さらに人ひとりの人生を背負うってのは、並みの「好き」ではできないことだよ。
 もちろん、背負われるのは女の側だけではない。けれど、それでも、男にとっては苦労に値する場合もあると思うんだよな、これ。あきらかに。
 
 ……けれどまあ、いまさら「ありのままの私を全部見てしっかり受け止めて!」なんて芸のないアピールをしてもしょうがないと思うし、だいたい、そんな接し方は、人として、相手に失礼だとも思うし。(だってさあ、相手に受け止めさせるほど、ありのままのおめえはそんなにキレイなもんだと思ってんのかっつーの! って話だよ、ソレ)
 ここはひとつ、親しき仲にも礼儀ありの路線で、お互い背負ってるものは見え隠れしますけれど、だからこそ理解できる思いやりで、時に痛くもあるが頼もしく、信頼ある関係を築きましょうね、ということにしていきましょうよ、私。そろそろ28歳なんだしね。愛。
 なんつってても、友達がおしゃべりのあいまに「歴史なんか、最初からないから大事にしなきゃってえのが愛だ」ということを表明したのを聞いて、ああ、それもそうだよね、個々の歴史以上に大きくなっていくものは、ふたりの歴史だしね。愛。なあんてホッとしたりもしてるのである。愛。みなさん、こんな私の本、買ってね。愛。



++2005/03/27(日)  サプライズをとる方向で。
 寝てたら暮れたよ、日曜日。
 土曜日は午後から渋谷へ髪を切りにゆく。もうずいぶん長く通ってるのなあ、このヘアサロン。正直、引越してからちょっと遠くなってしまってアレかなあとは思ったものの、いやいやいやいや。だって、いつも担当してくれるスタイリストさんが、かっちょよくてオサレなお兄さんである上に、おまかせすれば必ず素敵にしてくれるんだもの。
 おまかせしすぎて私からは特に希望を言わないのと、派手な髪型だからって問題の出る仕事ではないのを知ってくれているのとで、最近はシャンプー終わるなり説明もなくいきなりヘアカラー、染めあがったあとで「ああ、こんな色になったんだ」、そのままジョキジョキ切り始めて、切り終わったところで「おお〜、こうなったんだ!」みたいな流されノリである。
 こだわりはねえのかよ! とも一瞬思う。が、女にとって美容とファッションはあくまでも人に見られるための外面的要素であるので、自分の内面のよけいな「慣れ」と「思い込み」で指定していくよりは、その道のセンスと腕がたしかな人に完全客観で仕上げてもらったほうが、より多くの魅力を引き出してもらえるもんだ、という次第である。
 「似合わないと思う」より「見慣れないけど、あ、似合うんだ」のサプライズをとる方向で。
 案の定、仕上がって、一番見せたい人に見せにいったら「あ、かわいくなったじゃない」っていってもらえたもの。ふひ……この女、結局、そこか!



++2005/03/25(金)  アイシテルヨー!
 地理的条件で現物が見られないのでよくわからないのですが、おそらく本日、高知県にて発売の「タウン情報こうち4月号」に、当サイトのことをすこし紹介していただいているようなご連絡をお聞きしておりますので間違いなければきっとそうなんだろうと思っているのですがどうなんでしょうか。なんだ、この不安だらけのおしらせは。
 
 そして、だ。「水曜どうでしょう」DVD第5弾を手に入れ鑑賞し、げらっげら笑いおわったあとなんだけど、シークレット映像2つはどうやって出すんだよ!!! どなたか、どなたか、情報お持ちの方はわたくしまで!!!!



++2005/03/23(水)  この母にして
「やっぱりお母さんはホリエモンがスキやわあ♪ もう、めっちゃスキ♪ スキスキ♪」
 うちの母親はライブドア堀江氏の大ファンで、本日の高裁判決に大喜びしている。私は、堀江氏の見た目そのものが生理的に受け付けがたいので「堀江ファン」とは認めたくないけど、それでも、ライブドアという会社をあそこまで持ち上げて、古めかしい意地を張る「これまで」の会社とやりあい、完全能力主義の風穴をぴゅーぴゅー開けていく堀江氏てえのはすごいと思う。ので、母親に一票入れることにした。
「お母さんなあ、ライブドアのホームページ毎日見とんの。あんたは見とる? 社長対談とかあっておもろいで。でも、ホリエモンも大変やわな、あそこの会社ってホリエモン自体も、いつ誰に下克上されるかわからんわけやろ」
「まあ、それぐらいの能力のある輩を求めてる会社やしな」
「でさあ、スタッフ募集のところにある『社長からのメッセージ』を読んだらさあ、『自由にやってもらってかまいません、ただし、安定志向の人には向きません』てなことが書いてあったんよ。も〜〜〜、これからの会社って感じ。ホリエモン、超かっこええわ」
 はあ。
「あんた、ライブドアに就職してみいひんか?」
 は?
「ほら、あんたって、あきらかに妄想やけど妙に説得力のあるように聞こえるようなこと、上手にいうやん? ほんで、わりと、むちゃくちゃなことして失敗するけど、ベラベラっとネタにするやん? そういう妄想ノリで就職活動してみたら、意外とその勢いが『おもしろい』とかいって、採用されるような気がするんやけど」
 お母さん、それ、私のこと、ちっともほめてないよね……
「ほんで、あんたがライブドアに就職するやん。で、ホリエモンは無理でも、その周辺で割と能力のある男に近づいてやな、適当な色気とスマイルでだまくらかして誘惑するやん。で、ヤることヤって既成事実つくるやん。で、ホリエモンの彼女かなんかとダブルデートや。で、ホリエモンの六本木ヒルズマンションでホームパーティーや。六本木ヒルズでバーベキューや。で、あんたは適当にホリエモン本人と仲良くなったあたりで、『うちの母親ってちょっとおかしいんですよお』とかいって、適当にお母さんの小ネタを披露してホリエモンを笑わせるやん。で、ホリエモンが『おもしろいお母様だね』って興味持つやん。で、だ。その2ヵ月後ぐらいにお母さんが東京へ遊びに行くやん。で、あんたがホリエモンに『田舎の母が上京してくるんです。母が六本木ヒルズから東京タワーを見たいといってまして……先日、堀江社長のお宅にお邪魔したことを話したら、私もお邪魔したい! なんて言い出してしまいまして……でも、ご迷惑ですよね?』っていうやん。そしたらホリエモン『あ、例のお母様? ぜんぜん、かまわないよ。いやあお母様にお会いしたいよ、いつ上京されるの? よかったら今度のホームパーティにでも』っていうやん。ほんでお母さん、ホリエモンの部屋に……」
 もうええちゅうねん!!!!
 あんたの妄想にはついていけん!!!!

 母、自称36歳。二重まぶたでパッチリ小柄です。



++2005/03/19(土)  陰毛の。
 処理をちょっとしようかな〜なんつって思い立ち、三枚歯を片手に風呂場で我が股ぐらと格闘すること1時間。気づいたら、パイパンになってしまったよ。
 っぎゃああああああああああっ!!!
 
 で、これまで剃ったことのない部分をツルリンコしてしまい、毛穴がびっくりしてぷつぷつとかゆ〜くなる物質を放出しはじめたので、友達に相談。
「マキロン塗っておけば2日ぐらいで赤みはひくよ。きれいなパイパンには後処理が大切」
 あんたは雑誌でいうとエセ「an・an」かい! とは一瞬思ったものの、塗ってみたらものの1時間ですっきりおさまった。いやあ、やっぱ持つべきものはパイパン先輩だなあ。
 しかしこれから先、どうこのパイパンに対応していけばいいんだろう。どうせすぐプツプツ生えだすんだ、毎日、髭剃りの要領で股剃りを習慣化していくべきか、それとも、プツプツ生え出しても「ちょっとプツプツしちゃってるけど」で自分をごまかすべきか……。
 てか、いま事故・事件・病気などで緊急搬送され、緊急手術が決定、手術室にて衣類をはがれたら、一命をとりとめたのち、しばらくICUで寝かせてもらっている間がシャレにならん。「あいつパイパンだったぜ」「あの患者さんパイパンなのよね」なあんて目で見られてるんだろうなあああ、って気になって、でも聞けなくて、聞きたくて、笑顔が信用できなくて。うわああ、もう、そうなったら点滴なんて自力で抜いて逃げ出しちゃうよ!
 はあ。これからしばらく、お手洗いに入るたびに気に病むんだろうな、私。ああ、またひとつ悩みの種が増えてしまったよ。



++2005/03/17(木)  いやいや兄さん、デスクワークのがきついよ
 単行本がアマゾンなどで予約できるようになりました。ぜひ……ほんとに……チラッ……あのね……きょうは……チラッ……夕ご飯……バナナだったの……⇒詳細じゃああ!
 
 昼すぎ、うつらうつらと目を覚ますと、寝室のベランダに人間の気配。カーテンを閉めきっているので姿は見えないが、ウロウロと左右に動いている様子である。あら強姦魔かしら、そう思って部屋のなかにバールのようなものがないか目でさぐったものの、見あたらず。武器になるといえば、ナポリともみじの爪ぐらいか。んー、頼りにならんなあ、それなら爪切りのほうがまだマシ。
 すると、ベランダの人間、おもむろに窓に手をかけると、ガタガタガタッ! 網戸をはずしてしまった。ガコン、網戸が柵に立てかけられる音がする。ひいいいいっ! いよいよもって、本格的にこれはヤられてしまうかもしれねえっすよおおお! 凍りつく私。
 カシュッ、カシュッ……チャラチャラッ……
 なにか金属のようなものがこすれる音。つづいて、男の声が!
「あ〜あ。なあんでオレがこんなことしなきゃなんねえんだよ」
 カシュッ、カシュッ
「あ〜あ、めんどくせえなあ」
 カシュッ、カシュッ
「あ〜あ、もう」
 カシュ……
「あっ! くっそ、なんだよここ。きったねえなああああ、泥っだらけじゃねえか、とれやしねえよ、もおおおおおっ!」
 カシュカシュカシュッカシュッ!
 んー、思い出した。うちのマンション、いま、補修工事してんのね。そういえばベランダの外に、足場組まれてたのね。で、3月中旬より、各戸のベランダの清掃が入るという連絡もあったのね。で、どうやら今日はうちのベランダがカシュカシュと清掃されてるみたいなのね。
「はあああ、チッ、めんどくせえなあああ」
 カシュッ、カシュッ
「あああ、もおおお、辞めてえなあああ」
 カシュッ、カシュッ
「ッタク、オレを誰だと思ってんだよ、あいつら」
 カシュッ、カシュッ
「チッ、くっそ、ぜってえ辞めてやるからなあああッ」
 カシュッ、カシュッ
「あああ、もう、デスクワークにすりゃよかったあああッ」
 カシュッ、カシュッ
 異常に愚痴っぽいが、始終、手だけは休めないそのマジメな姿勢に妙な親しみをおぼえ、本来なら「てめえ、うるせえよ」とカーテン開けて怒鳴りたいところだが、そのままそっとふとんにもぐり、「ガンバ♪」、作業が終わるのを静かに待った私であった。



++2005/03/16(水)  春は、しびれる
 ゴタゴタが一件落着。ぷはーーっ。一時は「私、このまま刺し殺されてしまうのかしら」みたいな久々のイッツ・アクシデント! だったんだけど、なんとかなって、テンションもどったあ。ああ、生きてるってすばらしい。日差しが瞳にあたたかだよ。ま、んなこといってる現在は、午前4時である。
 午後から錦糸町まで打ち合わせに。ああ、思い出の街、錦糸町、5〜6年ほどまえにつき合っていた男性の勤め先。なんでわざわざ思い出すかというと、その男性が、私のはじめてのSMプレーの相手だからだ。
 いま、もし自分がパートナーとSMするってことになったら、知識があるので「きちんと安全で衛生的な道具の使い方をしよう」と、必要なら専用のものを買いそろえるなりなんなり相談するだろう。けれどそのころは、とにかくやってみたくてウズウズしていて「え、エスエム? エスエムするの? するの? ほんとっ?」なんて目を輝かせ、何でも受け入れてしまうような段階だった。相手には確かに知識はあったけれど、まだまだアマちゃんSMプレーヤーで、もしその頃もうすこし落ち着いて考えてから挑戦していれば、
  
・コンビニで売ってるような荷造り用の極細麻ひもで全身ばっちり亀甲縛りにされて「ああっ、しまった。やっぱり極細のひもで縛るとバシバシに痕が残るんだな……すまん、3日ぐらい消えないかもしれないぞ、これ」と言われ、結局2週間、首から下の全身に亀甲マークつけっぱなしになったり、
 
・ホームセンターのロープコーナーにて、まるで証券会社のウインドウに並ぶ株価を読みとるかのごとく真剣な表情で腕組みをする男性に「んー……やはり直径は7ミリ以上は必要だという噂だ。しかし、このロープは化学繊維が入っているから、皮膚に何らかのトラブルがおきてもおかしくない……んー、よし、こっちのロープにしよう。そしておまえの場合は身長が152センチ。ということは……ロープの長さは18メートルだな……」とブツブツ言われ、結局「ん! 2メートルあまったな。16メートルでよかったな」と言われたり、
 
・100円均一で買ってきたアロマテラピー用バニラおよびラベンダーのキャンドルを「ふふっ、熱いだろ」とボッタボタたらされた上、ラベンダーの紫色素が肌に沈着してしまって、全身、「えっ、病気?」みたいな色になったり、
 
・同じく100円均一で買ってきたゴム風船を粉ついたままオマンマンに詰めこまれて「フーッ、フーッ……だめだ、膨らませられない! これは、膣圧の高さが原因か?」と言われたり
  
 と、いうことは避けられたんじゃないかなあなんて、思ったりもする。
 でもずいぶん時間がたったんだなあ。
 今だってまだまだ私は子供だけど、あの頃はもっともっと子供で、SMはまあオプションとして、恋愛関係において「相手の状況を推しはかる」という大切なスタンスがまったく持てていなかった。泣きすがって気持ちを押しつけたり、不幸を見せつけて卑怯に口を封じたり、それでいて男の逃げ場を取り上げたということに気づかない、すっげ、ダメダメな女だった。
 すこしは成長したんだろう。だけど、いまでも恋すれば、ついついいつも以上にわがままでいたくなる。だから、怖くて苦しい。これってオトナになってきたってことなのかなあ……。



++2005/03/15(火)  春は、こじれる
 ……はーーーっ、テンション低い。
 
 友達のA子28歳が、25だか30だか、とにかくずいぶん年上の人とずっと不倫してきた結果、あるひとつの結論にたどりついたらしい。
 
「だって、まあ、不倫なんてお互い利用価値があるかどうかって問題でしょ。今の彼は人脈が広いからさ、それがアタシの仕事につながればって思って。次のよさそうな妻子持ちが見つかったら、そっちに乗り換えるよ。……え? ああ、同い年ぐらいの彼氏もほしいっちゃほしいけど、結局は妻子持ちと付き合ったほうが別れやすくてラクだし……うん、それに、得られるものだって大きいじゃん、勉強になるし」
 
 この女、春なのに、なんでそんなに刹那的やねん。
 てか、女が男から得られるものって、A子がいうような、そんな「ある意味、物的」なものなのかな? 年上なら、大きなものを与えてくれるっていうのは、ただ、知らない年月に幻想を見てるだけなんじゃないのかな?
 要はA子は「相手を信用しない」という防衛線を張って割り切るということだ。だけど、信用しないということは、信用されないということだ。これって心にトゲをはやすだけなんじゃないかなあ。そのトゲって、そのうち、自分を刺すんじゃないかなあ。信用しない・信用されない・愛されない・愛さない、こんなことに慣れるほど、人間は頑丈にできてはいないと思うんだけどな。
 なんて言ってみたものの、どうも私の意見は聞いていないようだったので、まあそれもひとつの選択か、つか、どーでもいいや、もうテンション低いんだもの。はーーーっ、低さのあまり、自分のいってることも考えてることも、どーも破綻してるような気がするぐらいだよ。



++2005/03/14(月)  上下に激しく針がふれております
 ひゅううううんとテンションが落ちて、ぐううううんと元に戻って、ごおおおおおっとハイテンションになって、ッドーーーーーーン! と、また落ちた一日。私って忙しいやつだ。春だね。

 我が家のちいさなホワイトデー。



++2005/03/11(金)  人間は絶対にアナログだから
「さっきこの建物入ったとたんに電波悪くなっちゃってボクってケータイがライフラインだから電波わりいってだけでもうチョーいらいらして機嫌悪くなっちゃってFOMAもボーダフォンもダメじゃああん使えねええっみたいなアッハッハッハ! ボクっていつも世界中のケータイ持ち歩いてるんすけど例えばこれは中国製のやつでこれはアジアとヨーロッパ全部で使えるんすけどいつもこうやって両手に二個持ってケータイ二個打ち! とかフツーにやってますよそのへんの女子高生には負けねえっすねアッハッハッハ!」
 
 映像作家の高城剛って人が深夜番組でトークしてたんだけど、そのあまりのテンションの高さに度肝をぬかれた。この人、本当に41歳なのか?
 有名どころだとルイ・ヴィトンや六本木ヒルズのアニメーションをつくったり、ソニーは『AIBO』の製作総指揮かなんかをやった人で、『未来のデジタルならこの人に聞け、世界的ハイパーメディアクリエイター・高城剛』という紹介のされ方をしてたんだけど、その紹介VTRが終わって
 
「そうなんっすよボクってハイパーメディアクリエイターなんですよ! ハイパーって超えるって意味でしょそうでしょだからボクってメディアを超えた存在なんですよねえいつも一歩先の未来を見てるっていう意味で自分でも気に入ってるんすよねアッハッハッハ!」
 
 と大声でのたまったときには、すげえし、すげえな、この人は。と、普通にトークに見入らざるを得なくなってしまった。
 なにやら、仕事場からプライベートから常に最新のデジタル機器に囲まれていて、「電気と電波が使えなくなったらボク死んじゃう」という生活を送っているそうで「デジタルっていま一番新しいものを使いこなすと、一歩先の未来が見えてくる」というのがゆるぎない自論らしい。
 一瞬、この人大丈夫かよ……ソウウツのデジタル依存症じゃねえの? なんて印象でちょっとイライラしながら見てたのだけど、お忙しい高城さんのスケジュール管理は、と質問されてポケットからふと取り出したのがめちゃくちゃアナログなボロボロのメモ帳。小さく折りたたんだ紙に、きったない字でその月の予定が書き込まれているのを見て、ものすごく親近感がわいた。
 
「ボクって作るものはチョーデジタルだけど基本はチョーアナログっすよ。常に基本にアナログがあって、その足もとにちょこっとデジタルがついてるって程度のスタンスでボクはやってますよ。それぐらいがデジタルを楽しむにはちょーどいいし、それ以上はダメッ! デジタルって結局は『モノ』だから。だけど『人間』は絶対にアナログだから」
 
 この人がオタクに見えない理由、チャラッチャラしてんのに許せてしまう最大の理由は、ここだったのね。はあ。ふとしたところで、こういう主張をスパッと通されると、男ってかっこいい生き物だよなあって憧れちゃうんだよ、女って。
 て、昨今、徹底的に「顔よりトーク」で男にひきつけられるようになったこの私は、大人になったっつうか年とったのかもしらん。ふ。トークよトーク。殿方さまがた、トーク、求ム!
 は。
 最近テンションあがってたから、反動で意味もなくがっつりへこんだ。なんでやねん。



++2005/03/10(木)  まずは見た目のロマンから固めていくべき
 昼起きて玄関のドアを開けたらおもてに菓子折りのようなものが置いてあった。あら爆弾かしら、と部屋に持って帰ってにおいをかいだあと、包みをあけてみるとお菓子が入っていた。宅急便や郵便の送り状もなければヒットラーメモも入っていない、誰が置いていったのか見当もつかない。んー、でも、おなかすいてるし、とりあえず……食べるかな。ン!? ン!! んまい! うまかった。半分ほど平らげたところで電話があり、私の食べているお菓子は知人からの届け物であることがわかった。
「エ、もう食べたの?」「うん」「あやしいと思わなかったの?」「思ったよ」「でも食べたんだ」「うん、おいしかったよ」
 そして私は、あやしいと思ったら口にいれちゃだめでしょう、だいたい隣の部屋とまちがえて置かれてたらどう弁償するつもりなの、とガッツリ怒られたのであった。ひどいヨ……。
   
 ところで先日、壊れてることがわかった露出計を修理に出さねばならんなあと眺めているうち、こんな露出計を発見した。な、な、なんて素敵なんだあああ! 1950年ドイツ生まれ、メーカーはカールツァイス。古いものだけに革のケースはかなりくたびれているけど、針は光に反応してきびきびと動いている。文字盤も繊細に出来ているし、鎖の部分もこまかい彫刻がなされていて、ぬかりがない。ウ〜ン、すてきすてきすてき。
 さあ、これを買わずしてなにを買うよ? ひとめぼれ。ちゅうことで、壊れた露出計の存在自体、最初からなかったことにして、本日この逸品をゲット。
 やはり古くても良いものは残っていくのだ。カメラ用品だからってとにかく黒く塗装されてる色気のないものはだめだめ。やっぱね、私にとって、これは趣味だから。機能の最新さうんぬんよりも、まずは見た目のロマンから固めていって、とことん自己満足をはかっていくべきなんであるよ。
 以上、衝動買いへの自己弁護であった。



++2005/03/09(水)  本番に強い心臓がほしい。
 昼夜逆転気味だったので、メラトニンをかじってむりやり就寝、朝9時起床。洗濯して掃除機かけて仕事して。昼間動いてると、あっという間に時間がたつなあ。
 夕方より、表参道へ。お芝居「蛇よ!」を観に行く。うわあ、やっぱ青山だよなあ、スパイラルホールってはじめて入ったけど、なんだよこの『ハイセンスな平成の新しいニューオサレ空間』は。空気が動いてないのに、よどんでない。確かにざわついてるけど、ごみごみしてない。設置されているもの、販売されているものが、ことごとく、かわいい。ほんでちょっと高い。ノート一冊1,800円て。あやうく買いかけた。
 建物内にいる人は、みなシュッとしたファッションでシュッシュッと都会的に歩いてて、私はひとり勝手に気後れ。ああ、こんなビンボーセーターにビンボーニットキャップ、ビンボーズックなんかで来るんじゃなかった。しかも私、人様に差しあげるためではあるが、手に漬け物持ってるし! はあ、漬け物持参でファッションの街、青山。ないよなあ……。
 お芝居、松尾スズキ×大竹しのぶ、オムニバス形式のコント。笑いすぎてむせた。なかでも、ふたりが白いかぶりもので精子に扮して登場、卵子を探しながらあれこれ語るというやつが一番ツボにはまった。幕間に「出しっぱなしの女」という短編のモノクロ映画。間がおかしくて、何がおもしろかったのかわからなくなるほど笑った。すっかり大竹しのぶファンに。
 終了後、楽屋におうかがいし、松尾さんにご挨拶。本の帯コメントなどとてもとてもお世話になった方、1対1のトイメンにいらっしゃる状態に緊張しすぎてお芝居の感想すらうまくいえず。ア、ア、私、いま、目が泳いでる、泳いでるってえ……挙句の果て、松尾さんがしゃべるたびに自分で制御不能なニャンコ系の動きで「ひは」とか「ふ」とかいってしまい、こんなのただのむかつく挙動不信女じゃないか、秒速で後悔していくうちに・に・に・に・に。
 次の誕生日には、本番に強い心臓がほしーいよおおおっ!
 でも、作品ほめていただいたことが本当にうれしかった。
 帰り、表参道駅構内でしこたま迷う。いろんな路線の地下鉄が乗り入れすぎて、構造がややこしいったらないのだ。半蔵門線の帰り方向にたどり着くのに、15分ぐらいかかった。もうすこし体力が落ちていたら、階段あたりでゲロはくとこだ。



++2005/03/05(土)  ソッコーソッコーシゼンキキョウ
「本人いわく、なんやら夜中に急に胸が苦しくなって、インターネットで調べたら『なんか気胸くさい』と思ったらしくてな。救急車呼びゃーええのに、あの子、朝の開店まで待って自力でチャリこいで病院行ったんやて。ほんだら、肺がしぼんでもうてなあ。もう、ソッコー入院やで。ほんで、ソッコー手術でなあ、ソッコー電話かかってきて、もう、私、ソッコー仕事切り上げて、ソッコー大阪行ってきたんや」
 
 あきらかに弟(23歳・大阪・学生)の口癖がうつってしまっている母からの連絡。
 現在大阪住まいの弟が、先週から自然気胸で入院している。自然気胸というのは、痩せて背が高く20代の男性がよくかかるもので、肺に穴があいて空気がもれちゃう、ヘタすると肺がしぼんでなくなっちゃうという病気らしい。死ぬようなことはない。本人はタバコも吸わない男で、肺は健康、わりと体力もあるほうなので、手術後の経過も順調らしい。
 が、いまだ肺の穴がきちんとふさがらないため、ベッド脇の機械からチューブを使って肺に空気を送りつづけるという処置。そのおかげで息苦しさはなく、本人は顔色もよく元気で、面会時間いっぱいベラッベラしゃべっているらしいのだが、いかんせん、機械につながれベッドを中心とした半径1メートル以上には動きまわることができない状態、ここ2、3日で相当つまらない入院生活であることが顕著になってきたようだ。
 
「チューブがはずれたら動けるんやけどなあ。あまりにつまらんもんで、あの子『ベッドで食う病院食、これはウマイ!』とか、わけのわからんこと言い出しとるで。おまえは松岡修造かっちゅうの。チューブの王子様かっちゅうの」
「……ある意味、重症やな」
「そやろ。もうなあ、始終、つまらあん、つまらあん、ゆうとるわ。男やったらソッコーかわいい看護婦さんでもチェックして、声のひとつでもソッコーかけろっちゅうのなあ」
「ま、まあな。とんぼ返りにはなるけど、見舞い行くよ?」
「ああ、ほんでもなあ、あんたは横浜やろ。ソッコー来てソッコー帰るんやったら、往復の旅費ももったいないし、まあそこまでソッコーのアレでもないんやわ。それよりあの子、4月にソッコーそっちへ引っ越すやん? その世話してやってえな」
 
 そう、弟は4月から社会人となり東京の会社に就職するのである。埼玉だか千葉だかに引っ越すらしい。大阪にだっていくらでも仕事はあったろうに、なにを血迷って、きちんと就職活動をした男が東京に。姉につづけ! ということか? だとしたら残念、姉はね、東京に行きたいだけで、就職活動するのはイヤだったので、ネットの『関東アルバイトニュース』だかなんだかで適当に見つけた会社にまずはもぐり込んだんだよお? そして、3ヶ月で辞めたんだよお? で、そのままむりやり『金がないから帰れない』といいつづけて早5年なのだよお?
 
「まあ、そやな。引っ越しで無理して、また空気もれられても困るしな。荷解きやら手続きやら、できることは私がやっとくわ」
「たのむわ。まあ、そんでも元気になってきたようでよかったわ。時間あったら、手紙でも書いて送ったってえ。あの子、一日ベッドにつながれとるから売店にも行かれへんやろ、だいぶヒマしとるみたいやで。なんせ、ソッコー入院のソッコー手術やったでな。ソッコー電話かかってくるし、ソッコーびっくりしたわ」
 
 母よ、「ソッコーびっくりした」は、微妙に使い方、まちがってるで……。
 そして姉は、『デビルマン』と『アドルフに告ぐ』の全巻をソッコー段ボールに詰め、「デビルマンは最終巻がすごい」とのメモをソッコー殴り書き、弟の病室宛にソッコー発送したのであった。
 弟よ、到着を待て。
 
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