++2005/11/27(日)  上演中、上着は、お脱ぎ下さい
 生き返ったあ!
 寝た。10日ぶりに、寝た。
 先月の中旬あたりか、私、「常に差し迫ってれば、馬車馬のようにがんばれる」とかなんとか書いてるみたいなんだけど、ウソウソウソウソ。ムリムリムリムリ。前言撤回。すぱっと撤回。んなことしてたら、人間、心の豊かさを失ってすなわち死に至りますからね。
 はーい、ドン!
「3日に一度は6時間の睡眠がとれる程度の差し迫り方なら、馬車馬のようにがんばれる」
 上記に変更とす。
 ん。
 そんな本日は、昼頃起きて、布団叩いて、小一時間電話して、バス乗って、東急乗って、JR乗って、東武東上線乗って、くっそおおお遠いぞものすごく遠いぞと思いながら「中板橋」なる未知の土地へ芝居を見学にゆく。
「絶対王様」という劇団のアトリエ公演だったんだけど、客入れがはじまるなりいきなり座長さんが謳った“注意事項”、
「上演中、大変あつくなりますので、今のうちに上着をお脱ぎ下さい」
 ええっ。普通、まずは、携帯の電源をお切り下さいとか、フラッシュ撮影はおやめ下さいとか、そういうのから言われていって順に確認していくもんだと思っていたんだけど、初っ端から「上着を脱げ」って、んなこと注意されたの初だったので、こら一体どんな芝居なんですかと、びびった。
 が、はじまって後半、ほんとに暑くなってくるのである。
 空調が切られていたのもあるけれど、なにより、会場のキャパに対して、客の数、そして役者さんの鬼気迫り具合がでっかいのだもの。メガネ役の人なんか、しまいにゃ、メガネ曇って、目ぇ、見えなくなっていた。アツいぜ!
 そらなあ、上演中、遠慮がちにダウンジャケットを脱ぎだそうとする人もいただろう、これは。そして脱いだ本人の遠慮以上にダウンジャケットの態度は手におえないデカさだったりして、一度は脱ぐのをためらうんだけど、やっぱり思い切って脱いでみたら袖の部分が陣地を飛び出し隣人の後頭部に思いっきりツッコミを入れてしまったりして、焦って引き寄せたら今度は反対側の袖が逆どなりの顔面をメガネもろともパーンとハッたおしてしまったりして。
 ん。善良な市民にとっては、想像するだけで心臓のひきつる思いに苛まれる史上最低の迷惑行為であるよ。
(いやあ、ホンット、脱いどいてよかったよおお・・・・・・)
 指示に従って素直にスカジャンを脱いでいた私は、正直者なのに得するタイプなんだな、そう思ったことだったよ。



++2005/11/19(土)  がんばったよ、今週の私は本当に。
 よ、よ、4日間も本気でもって寝られないなんて、この仕事やってきて、おら、はづめてだあ。
 16日の午後から怒涛の勢いで仕事が入ってきて、とにかく回転レシーブで打ち返しまくり。時間がなくてコンビニに飛び込んでとりあえずつかみとったメロンパン1個だけを買ったり、買ったメロンパンふりまわしながら過ぎ行こうとするバスを追いかけたり、バスん中でメロンパンかじったら想像以上に皮がもろくて大爆発したり、かばんのなかが粉砕されたメロンパンだらけになってしまったのだよウワアアと思ってよく見たらその前に買って入れといたウイダーインゼリーがすでに先着大爆発して地獄の様相を呈していたり、なんかもおおおおそういえば最後に寝たのはいつだっけ? とふりかえったのが、本日19日の晩である。
 気づいたとたん、急激に眠気が襲う。
 すると、飼い猫のナポリくんともみじさんが、足もとでナァナァニャアニャアそれぞれに何かを訴えかけるように鳴き出す。なんじゃいご飯ならさっき出しただろうと思ったら、前日からトイレ掃除をしてやってなかったことに気づく。「すいません、ほんと、すいません」非礼を詫び大急ぎでウンコ類を掘り起こし、作業終了、ふりかえると、背後には猫のトイレ待ち行列ができていた。ほほえましいのかなんなのか、よくわからない。
 は。
 で、友達に電話して、ちょっとグズグズ言って、エンタの神様を観て、小梅太夫おもしろいと思って、ようやく落ち着く。
 ふ。
 あああ、つう、かあ、れえ、たあああ!!!
       
 今週は、久しぶりの飲み会に参戦。編集さんとか漫画家さんとか、いっぱい来すぎていて誰が誰やらわけがわからなかった。乾杯、料理がそろうかそろわないかの頃、
「おおおい、もくれええええん!」
 なんかすでにテンションがヤバイ感じのくらたまさんに名前を叫ばれたかと思うと、ものの5分で、場は酒池肉林になった。スーパーフリーかと思った。
 途中から、一体この場ではかれているストッキングが何枚やぶれているのか、他人の靴を勝手にはいてトイレに行く大人が何人いるのか、ひとりでコソコソ数えていたんだけど、深夜1時をまわるとそれすらも不可能になるほどみなさんあまりに暴れはっちゃく。みんなスゴイなあ。うそです。家に帰ったら、自分のストッキングが一番やぶれていました。楽しかったです。ごちそうさまでした。
 ハ! そんな日記を書いているうちに20日の朝になってしまった。
 よくがんばった! さあ、ねえるうぞおお!!! バンザーイ!!!



++2005/11/17(木)  ホクナリンテープ
 流行先取り・青田買い派の私は、この寒気の波にも乗り遅れまいと、さっそく、風邪をひく。
 しんどー・・・・・・おなかはゲーリー、胸はゼームス、熱は出るわのハナ飛び出るわ。4重苦に苛まれてる上、いきなり仕事の予定がどばーっと入って、もう、サイヤク。 むー。しかし、今週〜来週は取材取材飲み会取材とどうしてもゆっくり休むひまがない。ので、なんとか呼吸だけでも楽にしたいと病院へ相談に行きましたところ、「とにかく咳が止まる薬」と「ホクナリンテープ」なる2センチ平方のシールみたいなもんを3枚いただく。これを上半身どこでもいいから貼り付けると、薬が浸透して気管が広がるらしい。効果はおよそ24時間。
 へええええええ! 病院素人の私は、はじめて知ったイチモツ、いや、イッピン。て、みんな知ってるものなの?
 で、自宅にもどり、その他ごっそり出された整腸剤だ胃薬だなんだと一緒に所定の薬剤をがぶ飲みし、さっそくテープを貼る。なんかテープ貼るっておまじないっぽくて楽しいなあ、なんて思いつつ、気管を広げるっていうんだから、肺の上がよかろう、それもなんとなく苦しい左側がよかろうと、左乳房(Bカップ)上部にぺたり。
 するとだ。
 とにかく咳が止まる薬のおかげで1時間ほどで咳は止まり、今度はテープの効果か、あれだけゼイゼイ鳴ってた胸の音がすうっと鎮まり、こりゃ楽になったではないかい。おおおおお! すげえ、ホクナリンテープ!
 こうなると、テープを貼りかえるのが楽しみで仕方なく、はやく明日が来ないかなと24時間後を待つ私。本当に上半身どこに貼っても効くのかと、翌日は、ためしに右乳房(Bカップ)乳首の外側に貼ってみる(本当は乳首に貼ろうとしたのだが、はがれてきたのでやめた)。
 そして、おおお・・・・・・ここでも同様の効果が。
 んで、ただいま、最後の一枚。
 もうほとんど風邪症状は良くなってるんだけど、これはどうよお、と、左腕のBCG痕にぺたり。おおおおおおおおお・・・・・・やはり、やはり効くのである。
 プチ、感動した。
 もう3枚とも使っちゃったなんて、ガッカリだ。もっといろんなところに貼ってみたかったのに。
 しかし、どうも情報によると、これは喘息の人が貼ってる薬らしく、アレルギー反応が出ることもあるので、濫用はいけないとのこと。
 そうかあ、そうかあ、医者。そうだよなあ。だって、私、初対面の人にとりあえずたずねられることがあるんだよ。
「タバコ吸ってもいいかな・・・・・・いや、イズミさん喘息っぽいから」
 万歳! ホクナリンテープ!



++2005/11/08(火)  秋のバッタと上昇気流
 たいへん心地のよい陽気。
 窓をいっぱいに開放、日の光を入れ、掃除機をかけ、散らばった本をすこし整頓、ベランダでたんたん布団を叩きながら、はあ今日はなんて穏やかなんだ、このままここで小一時間寝ころんだらどんなによいかしらんなんて雲ひとつない空を見上げていたら、そこへ上昇気流がしゅるるるるう。乾燥はしているけれど、肌を刺さないソフトな風。んー、気持ちいい、これだなあ。なんて目をとじ、季節のうつろいなどに思ひはべらせていると――
 ・・・・・・カサカサカサカサッ、グワッスワァァァアアアアアアア!!
 瞬間、突如として私は、ものっそい量の、ものっそい羽音をたてた、ものっそい茶色い、ものっそいなんらかの虫類の大群に、とうとうやってきたハルマゲドンのごとく襲いかかられ、なんと一寸先も見えないほどの勢いで全身を取り囲まれまくってしまったのである。
 その数、100、500? いや、1000!
 ッぎ、ッぎぎぎ、ぎいよエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!
 な、な、なッ!? な、ななななにコレなにコレなにコレなにコレなにコレチョイ待ってチョイ待ってチョイ待ってチョイ待ってチョイ待って待って待って待って待ってええええええ!
 ・・・・・・バ?
 バアッ! ばあああああっ! ばっばばっばばばッ、バッタ! くおこっここここここれはバッタ、これはバッタや! どれもこれもバッタや! バッタ、バッタ、バッタやん! B・A・T・T・A、バッタやああああああんッ! ななななな、なッ、わッわわわわわわわわわヴぁヴぁ、ブぁッタ、ばっ、ブワッタ! バッタや!! バッ、ヴ、バッタ、ブワッタ、ぶっ、ぶぶぶぶブワッタ! バッタやああああああバッタああああああああああああッブワアッタバッタバッタバッタバッタブワッタぶうおわあっタアアアアアッ!!
        
 布団叩きも高らかに、白昼堂々カンカン踊り。
 隣の主婦もびっくりだ、のぞいてみれば乱痴気騒ぎ。
 て、うまいことゴロあわせてる場合ではない。
 時は昼下がり、場所はベランダ、日和はあたたかく風通し良好――そんな中で、突然たったひとり、バッタというバッタに取り囲まれた私は、バッタバッタ奇声をあげ、バッタバッタ四肢をふりまわし、とにかくものっそい勢いでバッタバッタするという、究極の大地の恵み的理不尽、ザ・バッタパニック! パープー工場チンチロリ〜ン♪ に、陥ったのであった。
『こっここここのままでは全身にバッタが! 全身にバッタがつまって死んでしまう!』
 本格的な生命の危機を感じた私は、襲いくるバッタを必死になってはたき落とした。しかし、はたきおとす一方で、不気味な感触にも気づく。 ブチッ、ブチブチッ、ブチブチブチブチッ。これは自分の足裏、ビキビキの微振動、ビチビチの粘着感、ブチブチの殺戮音・・・・・・。どうやら私はバッタを踏み潰しているようなのである。うええええ!
 はたいてもはたいてもバッタがやってくる。暴れても暴れてもバッタを踏み潰す。自分の手に当たって粉砕されるバッタ、そのいがいがした足や手や触角、羽、目ん玉、なんか黄色いの! そんなものが頭のなかをうおんうおんと駆け巡った。
 この状況、もはや残された道は、頭をかかえ、いつ終わるとも知れぬバッタの群れをただただ通過待ちすること。それだけのようである。
『南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏、ハアアッ、ハアアアアッ』
 もう、いっそのこと、どこか違う世界へチュンッと跳んでいってしまいたかった。いや、バッタと一緒に跳んでいきたかった。バッタと同化、むしろ、私自身が最大のバッタだと思い込みたかった。それぐらいバッタだった。
 の、だけど。
 ふとあたりが静まり返ったと感じ、うつむいたまま恐る恐る目を開けてみると、足もとには凄惨な大量の死バッタ、ではなく、木の葉が積もっている。「え?」落ち着いてあたりをよく見まわしてみると、先ほどの騒ぎはバッタの群生などではなく、通りの街路樹のケヤキが風にあおられ上階まで届けられたという状況であったと気づくのだった。
『なあんやあ・・・・・・』
 全身から力が抜け、ホ、となり、空を仰ぎ見た。
 そこには広大な広大な水色がひらけていて、赤、茶、オレンジのたあああっくさんの木の葉が、駒のようにくるくると回転しながら、それぞれ自由に、ほんとに楽しそうに、舞い踊り、舞い降りる世界があった。
 冬の準備をしにきた、ちっちゃな妖精たちみたいだと思った。
 風がやみ、木の葉がすべて地上にもどると、空にはひとつ、真っ白く透けるような上弦の月が浮かんでいた。



++2005/11/05(土)  小梅とキャラメルとジンギスカン
 くううう・・・・・・、小梅太夫、おもしろいよ! がんばれえええ!!
 てな最近。
 お世話になっている映画の会社から、社用封筒で速達郵便が届いた。ほとんどのことはメールでやりとりしているし、あえて封書で、しかも速達で何かを送ってくるなんて想定外だったのでちょっと驚いた。
 何の用だろう、もしかしたら誰かと間違えて私にギャラでも支払ったその明細だろうか、いや封を開けたら「あなたはもう用無しです」というお知らせだったりして、いやいや「おまえ、この間のアレのせいでうちは苦情が殺到なんだ!」という法的通告文書だったらどうしよおおおでもそれなら内容証明で届くはずーとか思いながら、ぴりっと封筒をやぶってみると、中からころんと、一粒のキャラメルが出てきた。
 ――!?
 添えられたA4サイズのコピー用紙には、中央にたった一行
           
『ジンギスカンキャラメル食べたまへ』
          
 これである。
 先週、その会社のDさんが、知人の北海道みやげにもらったジンギスカンキャラメルなる話題の品を食してみたところ、驚くべきまずさのため社内全員ブサイクになったという話があって、えええそんなにスゴイの私にも一粒下さいよおおおとそう言えば名乗り出ていたのであった。
 言っておいて送りつけられたのなら、食べなきゃバチがあたるというもんである。
 そのまま、むにっと口に入れてみた。
 ・・・・・・ン・・・・・・ニャ・・・・・・・・・・・・。
 ・・・・・・マー。
 勘弁してええええ。
 一見クリーミーで甘い口どけっぽい雰囲気をかもしだしているこのキャラメル、口に入れた瞬間は特に違和感を感じないのであるが、ひと噛みすると、およそキャラメルに“適”とは思えない肉系のくさみ、そして、いかにもやる気のない、冷蔵庫でしなびたニラのような風味がイヤーな感じでにじみ出てくるのである。何度も何度も、舌をおおうように。
 ぐ・・・・・・だ、出したい。出して紙に包みなおし、そっとなかったことにしておきたい。
 Dさんはこれを「まるでジンギスカンをバニラアイスクリームにのっけて一緒に食べてるような味」と表現していたのだけど、私はあいにくジンギスカンを食したことがないので、もう、いきなり、「ジンギスカン=このようにひどくくさい」というイメージが頭のなかにできあがってしまったのであった。
 北海道なんか! 北海道なんか!
 でも、きちんと食べた私は、えらい子だよ。最後のツバの一滴まで、ほんとキツかったよ。
 それにしても、一粒あたり6円程度のくそまずいキャラメルを、速達料金350円も使って郵送してもらっているこの状況。恵まれているのか、なんなのか。



++2005/11/01(火)  
    
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